暑い季節だからこそ健やかに汗をかく
じめじめと蒸し暑い梅雨が終われば、暑い熱い季節がやってきます。そんな時期に汗をかきたくない、ずっと涼しい部屋でさっぱり過ごしたい…という方にも、今回は汗をかくことの大切さについてご紹介します。
汗のメカニズム
人間は汗をかくことで体温を一定に調節しています。
人間のほかに、全身に汗をかく動物はあまりいません。ウマやカバは全身に汗をかきますが、その他の動物、たとえばネコは汗をかくのは足の裏だけ、イヌは汗をかく仕組みがなく舌(よだれ)をハアハアさせて体温を調節しています。気温が上昇したり、運動をすると、体温や肌の表面の温度が上がります。
脳は熱に弱いため、体温が上昇すると汗腺に汗を出すよう命令します。緊張したり興奮した場合にも、精神的な刺激で汗が出ます。さらに、辛いものを食べた時も味覚が刺激されて汗が出ます。汗は血液から作られているため、汗を出しすぎて血液が濃くなると、今度は汗を抑えるよう脳は命令を出します。
このように、汗は脳の指令や精神的なきっかけで出るものなので、人間の意志によって自由に発汗を調節することはできないのです。
良い汗と悪い汗
汗にも「良い汗」と「悪い汗」があります。汗の成分や汗をかく仕組みを調べてみると、良い汗と悪い汗の違いがわかります。
良い汗
●サラサラで蒸発しやすい ●汗の粒が小さい ●少量で効率よく放熱できる |
悪い汗
●ベタベタとして蒸発しにくい ●汗の粒が大きい ●雑菌が繁殖しやすい |
さらに大きな違いの一つに、悪い汗は、血液中のミネラル成分も汗と一緒に出してしまうことが挙げられます。良い汗の場合は、汗腺のろ過機能がしっかり働いており、血液中のミネラル等を再吸収したあと、水に近い汗として出てきます。悪い汗はろ過が間に合わず、大切な成分まで出してしまうのです。ミネラルを多く出してしまうと、疲労や熱中症の原因となることもあります。
たくさん汗をかくと、汗腺のろ過機能が高まります。良い汗を出すには、普段から適度に汗をかいて汗腺を鍛えることが大切です。
適度に汗をかく生活へ
エアコンのきいた室内にいることが多く、ほとんど運動をすることもなく、汗をかかない日々を長く続けていると、発汗機能自体が衰えていきます。発汗がうまくできないと体温調節に支障をきたすことになり、体内に熱がこもりがちになってしまいます。そうした状態は、初期の熱中症にもつながりかねません。適度に汗をかくことを習慣づけることが大切です。
普段から運動する習慣がない方は、いきなりハードな運動をするべきではありません。特に夏場は炎天下での運動は避け、涼しい朝や夕方以 降などの時間帯で、ウォーキングなど軽めの有酸素運動がおすすめです。
また室内でのストレッチなども、血液の流れの改善や、汗腺の機能をよくすることにつながります。運動する時間がどうしてもとれない方は、入浴で汗をかくことを意識するのも一つの方法です。シャワーだけですませず、ぬるめの湯船にしっかりとつかり、発汗を促します。体にかかる負担を少なくするため、半身浴や足湯でも効果があります。途中で適度な水分補給をしておくのも忘れずに。
良い汗が元気の秘訣
適度に良い汗をかくことは、体に良いサイクルをもたらすとされています。汗をかく程度の運動習慣で、血行が良くなり、体内に老廃物がとどまりにくくなります。老廃物をしっかり排出できれば、肌や全身を健やかにすることにもつながります。また、適度な運動は夏バテ解消にもなります。体を動かすことで、精神的な疲れをリフレッシュできることも。
良い汗をかいて、暑い季節も元気に過ごしていきましょう。